綿花の品種は主に4種類

 一般的に綿花は、アオイ科のゴシピウム属(Gossypium)に分類されます。ゴシピウムという言葉は、アラビア語の「goz(柔らかい物質)」に由来するもので、ラテン語では綿花のことを指します。ゴシピウム属の中でも、繊維を作らない種もありますが、繊維を作る種は4種類あります。ヒルスツム(Hirsuturm)、バルバデンセ(Barbadense)、アルボレウム(Arboreum)、ヘルバケウム(Herbaceum)です。 

 

ヒルスツム

 この品種は、現在世界中で商業栽培されている綿花の90%以上を占める品種です。繊維の長さは1インチから1 1/8インチあたりの中長繊維綿あたりになります。ヒルスツム種は元々多年生の綿花でしたが、アメリカの栽培条件に合わせた品種改良が行われ、単年生の綿花になりました。現在では、世界中の綿花生産が可能な全ての地域で栽培されています。

 商取引の場ではアプランド綿(Upland)と呼ばれています。これは後述するバルバデンセ種がシーアイランド綿(Sea Island)と呼ばれていることと対照的な品種であることから名づけられたと言われています。

 原産地はアメリカ南部からペルーのあたりと言われています。染色体の数は26個です。

 

バルバデンセ

 バルバデンセ種は全ての綿花の品種の中で最も繊維が長いものとなっています。ほとんどが超長繊維綿に属しているように、繊維が長く細いため非常に光沢があります。ですので、この綿花から作られた商品は非常に高級なものとされています。かつてはエジプトで生産されている綿花が最も多かったですが、現在ではアメリカが最大生産国となっています。

 カリブ海の島々であるバルバドスやアンティグア・バーブーダなどの西インド諸島で生産されている品種は、その生産地からシーアイランド綿(和名:海島綿)と呼ばれており、世界中のあらゆる綿花の中でも最高級の品質とされています。繊維長は1 1/2(48/36)をゆうに超えるとされ、その光沢はまるで絹のようです。生産量は非常に少なく、年間1,000俵程度と推測されています。

 一方、商業栽培されている代表的なものはアメリカで生産されているスーピマコットン(Supima)です。ペルーを原産とするピマ(Pima)という品種があり、それをアメリカで品種改良したもので、スーパーピマ(Super Pima)やスーペリアピマ(Superior Pima)の略称と言われています。日本国内でとくに有名な商品として、ユニクロが挙げられます。

 

アルボレウム

 アルボレウム種はインドが原産とされ、アジア綿と呼ばれています。繊維の長さは短いですが、繊維が太いことが特徴で、弾力性に富むため布団綿や脱脂綿などに利用されます。一方で、紡績などには不向きな品種です。原産国のインドではデシ綿と呼ばれています。現在では利用用途が限られているため、インドやパキスタンの一部など、限られた地域でしか商業栽培されていません。

 かつて江戸時代の日本で栽培されていた綿花もこの品種になります。現在、和綿と呼ばれ栽培されている品種も、元をたどればアルボレウム種となり、やはり繊維が短いです。

 ヒルスツム種と見た目はやや異なり、植物の状態だと木の背の高さや葉っぱの形、コットンボールの大きさで判別することが可能です。アルボレウム種はせが高く、葉っぱもコットンボールもヒルスツム種と比べ小さいです。染色体の数が13個なので、ヒルスツム種と同じ場所で栽培しても、交配することはありません。

 

(手前がヒルスツム種、奥がアルボレウム種)

 

ヘルバケウム

 この品種は現在では商業栽培はされていません。原産地はインドやアラビア、アフリカ北部とされています。そこからヨーロッパやアフリカ、中央アジアへ伝播していったとされています。その伝播経路や時期が、古代ギリシア時代のアレクサンドロス大王の東方遠征のルートに沿っていることから、両者には何らかの関係性があったという見方がされています。

 品種改良がされていないので、多年生で野生栽培されています。レヴァントコットン(Levant Cotton)と呼ばれることもあり、ハート形の葉っぱを持つことが特徴です。商業栽培がされておらず、商取引も行われていないので、ほとんど目にすることが出来ない、ある意味で幻の綿花とも言われています。なお、見た目はアルボレウム種と酷似しているため、科学的な検査をしない限り判別は不可能とされています。

 アフリカの各地域では、ヘルバケウム種を様々な目的で使用しています。セネガルでは、新生児や病気の子供に対して、免疫力や体力向上のため綿花の根を煎じたものを与えます。ソマリアでは、根の煎じ薬は中絶剤として使用されます。エチオピアでは、ヘビの咬傷の場合にワクチンとして使用され、真菌感染の治療にも適用されます。ナミビアでは、野生の綿花の根や樹皮などを粉末状にしたものが、止血剤として使用されています。ボツワナでは、綿花の根が心臓病や動機を抑えるための治療として使われることがあります。これらの使用法は、かつては野生種の綿花であるヘルバケウム種が使用されていましたが、現在ではヒルスツム種やアルボレウム種に置き換えられているものもあります。

 

 




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