ベター・コットン・イニシアティブ【BCI(Better Cotton Initiative)】とは

BCI(Better Cotton Initiative)は、綿花業界のトレンドワードSustainability(持続可能性)を実現しうる、最大にして最短の方法です。厳しい規制をクリアした最上級(Best)のオーガニックコットンに対し、基準を緩くしても万人受けする改善を持ってして綿花栽培の持続可能性を高め、より良い(Better)ものにしようという取り組みです。

BCIの長期目標は、人の健康と環境に影響を与える水と農薬の使用量を減らすこと、土壌の改善、農家や綿花生産労働者のための労働環境を整えること、より持続可能な(サステイナブルな)綿花生産を推進するための世界的な知見交換の促進、などが挙げられます。

しばしばBCIはオーガニックコットンなどと同様に綿花の名称として捉えられることもありますが、実際はスウェーデンに拠点を置く国際NGO団体でもあります。この取り組みの面白いところは、オーガニックコットンのように生産者が先導したものではなく、川下のメーカー、特に欧州の大手アパレルメーカー(IKEA、H&M、Adidas、GAPなど)が先頭に立ったことにあります。

彼ら大手メーカーが使用する綿花は膨大な量があります。仮に環境や将来を考慮しオーガニックコットンを採用したとしても、その需要全てを賄うことは不可能です。ならばオーガニックコットンほど規制は厳しくなくても良い、その代わりにより多くの綿花をより良い形で栽培していこうという取り組みがBCIの趣旨です。

BCIは、綿花がどこで栽培されたかに関わりなく、一つの全体的なシステムとして実施されます。よって、生産国や生産者の規模に拘わらず、小規模農家にも作用します。綿花生産大国である中国・インド・アメリカ・ブラジル・パキスタン・オーストラリアをはじめ、現在世界中で取り組まれています。2020年までに500万人の農家・綿花生産全体の30%の量をBCIにすることを目標としており、これが実現すれば将来的に綿花生産にBCIは欠かせないものとなるかもしれません。

 

BCIとオーガニックコットンの一番の違いは「認証の有無」です。オーガニックコットンは川上の農家から川下のメーカーまで、全てのサプライチェーンにおいて認証団体の定めた基準を遵守する必要があります。その基準をクリアした製品のみが「オーガニックコットン」を名乗ることを許され、タグが付与され高い価値のあるプレミアム製品として市場に出回ります。

一方でBCIは、最終製品に付与するようなタグはありません。市場にある製品を見ても、「BCIコットン100%」といった表現はあまり目にしないでしょう。BCIコットンの製品に高いプレミアム性はありません。むしろ、コスト削減とそれによる農家の利益増加に焦点を置いています。

参加する農家は、農薬使用、健康と安全、水の使用、繊維の品質、労働環境保護、結社の自由、児童労働・強制労働・差別禁止などを基礎とする最低限の基準を満たさなければなりません。それを遵守しさえすれば、BTコットン(遺伝子組み換え綿花)の利用も認められています。混率に大きな規定もありません。水使用は何%必ず削減しなさい、といった厳しい制約やノルマも課されません。

世界中の綿花農家が、出来うる限り最善の方法で最大の収穫を得られるような栽培をすることで、その方法を共有することで持続可能性を高めていこうということです。

しかし、BCIは必ずしもオーガニックコットンと相反するものではありません。むしろ協調するものです。オーガニックコットンで用いている栽培手法を、万人向けに改良したりすることもあります。BCIの賛同団体には、オーガニックコットンの認証団体も名を連ねています。

 

BCIにもデメリットはあります。まずは企業への負担および付加価値の付けづらさです。前述したようにBCIはオーガニックコットンのように最終製品に取り付けることのできるラベルが存在せず、商品に付加価値をつけることが困難とされています。一方で、 BCIはオーガニックコットンと同様、実綿の段階からBCIを通常のコットンと区別することが求められます。よって、通常の綿花と比べ、使用する企業の管理コストは増大します。また、ジン工程以降から最終製品までのトレーサビリティの責任は、BCIを調達する企業に求められることとなります。

その他、農家に対する最低価格保証やプレミアムの付与がなく、目に見えてわかる「金銭面での支援」は行われていません。

 

では実際に、メーカーはどうやってBCIコットンを手に入れるのでしょうか?簡単なことです。シッパー(サプライヤー)に「BCIコットンを売ってくれ」と伝えれば、彼らは即座に用意してくれます。価格は通常の綿花に、証明書発行手数料のためのわずかながらのプレミアムが乗るだけです。グレードなどの指定は通常の綿花と変わりません。

それくらいサプライヤー側にとって、現在ではすでにBCIコットンは浸透しています。ですがBCIコットンが消費者に浸透するまでにはまだまだ時間がかかります。もしあなたが消費者に対し、BCIコットンはどのようなものかと伝えたい場合、次のように伝えると良いかもしれません。

 

「普通のコットンは100円の果汁1%ジュース、オーガニックコットンは500円の果汁100%ジュース、BCIコットンは120円の果汁20%ジュースだ」と。さて、あなたはどれを選びますか?

 

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